仏壇情報「仏壇店に行ってみよう」トップページ > 第5回「わが家のお仏壇物語」 > 佳作作品

フォトエッセイコンテスト 第5回 「わが家のお仏壇物語」入選作品

佳作 「心のよりどころは小さなお仏壇」」 谷尻 りえ(北海道・女性・45歳)

佳作 星 伸也

私の子供時代、生活の中心はお仏壇でした。
 実家は田舎の農家で、朝起きると母が炊いたご飯をお仏壇にお供えし、夜は祖父母がお経をあげる横で手を合わせてから就寝。お仏壇の前で1日が始まり、お仏壇の前で1日が終わるのが日常でした。
 そんな私も結婚して都会のマンション暮らしをするようになると、お仏壇とは全く縁のない生活になりました。当時はそのことを特に意識することはありませんでしたが、やがて子供が生まれ家族が増えると家族の健康や幸せを願う気持ちは増す一方で、漠然とした不安が募るようになりました。
 そんなとき、実家から分家をした親戚が「心のよりどころが欲しい」という理由で誰も亡くなっていないのにお仏壇を購入した、という話を母から聞きました。この話を聞いた時、「そうだ!」と思いました。自分の中に芽生えた漠然とした不安は、心のよりどころがないことが原因かもしれない、そして、長年私の心のよりどころはお仏壇におられるご先祖さまだったんだ、ということに気づきました。
 その後、私はすぐに仏壇店に直行しました。当時、子供も生まれたばかりでお仏壇を買えるような経済的余裕はなかったので、何かお仏壇らしいものを家に置きたい、と店員さんに相談をしました。そして、観音開きの桐箱と、嫁いだ先の家と実家、それぞれのご先祖様の位牌を作ってもらいました。とても小さな仏壇ですが、ご先祖様がマンション暮らしの我が家にも来てくださったようでとても嬉しかったですし、ようやく家族の心のよりどころが出来た気がして本当に安心しました。
 そして時は流れ、あれから16年。高校生になった娘は私の子供時代と同じように、お仏壇に手を合わせる日々を過ごしています。

※入選作品の著作権は(株)宗教工芸社が所有しています。無断転載を禁じます。