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フォトエッセイコンテスト 第6回 「わが家のお仏壇物語」入選作品

八田神仏具店賞 「おばあちゃんの仏壇」 千葉 裕美子(岩手県・39歳)

八田神仏具店賞 千葉 裕美子

最愛の祖母が他界したのはちょうど六年前の七月三日だった。いつものようにデイサービスに出掛けていたのだが、お昼頃家にデイサービスより電話が掛かってきて、ぐったりして動かなくなったので救急車を呼んだとの事。父と母と急いで病院に駆けつけた。脳溢血だった。もってあと一日との医者の言葉に来るべき時が来たのだと思った。

病室に行き、祖母の手を握ると温たかかった。もしかして助かるのではないか。次の日一睡もできないまま病室に行くと、ご臨終ですと言われた。手を握ると冷たかった。それに気づくと涙がとめどなく流れた。「おばあちゃん」と声を掛ける、もう返事はない。九十一才。大往生だった。

派手な事が好きな人だった。小学生だった頃いきなり白髪を紫に染めて町中の噂になった。戦争未亡人で女で一つで子供を大学に入れた事が自慢だった。

祖母が亡くなる五年位前に何気なく家の仏壇が傷んでいる事に気付いた。あまりの粗末さに父に話してみると不幸があった時替えるとのこと。それを聞いていた祖母が仏具店に連れていって欲しいと言い出した。自分が入る仏壇を選びたいと言う。なぜか可わい想だった。そして両親と祖母の三人に仏具店に出掛けた。心配があった。また派手な仏壇になるかという事だった。しかし仏具店で祖母が選び運ばれてきた仏壇は全然華美ではなく、とてもシンプルで品のある質素なものだった。

そこに眠る祖母に毎日話しかける。「おばあちゃん、守ってね。」デイケアサービスの音楽会で痴呆だった祖母がいきなりマイクを握り、「千の風になって」を歌ったと後で聞いた。千の風になり、私達家族の事を見守ってくれているのかもしれない。ありがとうおばあちゃん。静かに何も苦にせず眠って下さい。そう祈る今日である。

八田神仏具店賞 千葉 裕美子

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