| 妖精になったご先祖様?
ムーミンがカバだと思っている人は意外と多いのではないだろうか。でも水の中にいるカバがどうして陸地のムーミン谷にいるのだろう。よく考えてみると不思議だ。でもあの姿はどう考えてもカバだ。
ムーミンはカバでなく、妖精だと言われている。でもカバの妖精ではない。ムーミン谷で幸せに暮らす妖精たちがムーミンとその仲間達。主人公のムーミントロールのトロールは北欧神話に登場する妖精の名前である。
ムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソンは一九一四年、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれた。一九三〇年に母シグネの母校ストックホルム工芸専門学校に入学し、一九三三年には父の母校であるアテネウム芸術学校に入学。
ムーミンが初めて登場するのは一九三四年のこと。「黒いムーミントロール」を水彩で描き、一九三九年にムーミンシリーズの第一作となる「小さなトロールと大きな洪水」の執筆が開始され、やがて世界中に知られるキャラクターに成長。
ポケットモンスター(ポケモン)というアニメの名前を聞いたことがあるだろう。主人公のたけしとピカチュウ、そしてその仲間達は、今やアメリカでも愛されるキャラクターに成長した。
ポケットモンスターというのはポケットに入るほどの怪物という意味だろうが、以前香港のコンビニでポケモングッズを見かけたとき、そこに英語でスピリチュアルという表記がしてあり、思わず足を止めたことがある。
スピリチュアルとは精霊のこと。「なるほど、ポケモンは精霊、つまり妖精のようなものか」と感心してしまった。アメリカではそのまま「ポケットモンスター」という表記のようだが、どうして香港で見かけたポケモンにはスピリチュアルという表記が挟んであったのだろうか。
妖精は英語でフェアリー、妖精物語はフェアリーテールと言う。スピリチュアルという場合には「父と子の聖霊の御名において、アーメン」の聖霊がスピリチュアルであり、少しニュアンスが違うのかもしれないが、小泉八雲(ラフカディオハーン)は仏壇のことを確か「スピリチュアルハウス」と呼んでいたという記憶がある。つまり精霊の家だ。もっとも小泉八雲は仏壇のことを「ゴーストハウス」とも呼んでおり、欧米文化から見れば先祖の家である仏壇は「スピリチュアル」であり「ゴースト」のように見えたに違いない。ムーミンとポケモンと先祖の霊。遠い関係のようで、実はお隣同士の関係だ。
妖精と聞くと、ディズニーのアニメに出てくるティンカーベルを思い出すが、ご先祖様がティンカーベルのように飛び回るテレビ広告がそのうち登場するかもしれない。
浄土という言葉の実在感が希薄になり、天国に現実感を感じる現代では、先祖の霊、というよりも妖精になったご先祖様と言ったほうがよく理解されるかもしれない。なんだか、いつまでも成仏できないようなイメージもあるが。
仏壇評論家・住田孝太郎
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(2005年10月) |